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2022年11月の記事一覧

季節の風をそっと届けたい 至福の贈り物 第12回

最近の私の小説は、在原業平や小野小町を題材にしており、古典に親しむ日々を送っています。 数年前に小倉山荘さんの「をぐら山春秋」に出会い、小説の取材先にお礼として贈るようになりました。一つの小袋に8種類のあられが入っていて、桜、紅葉、初霜など、四季を表現しています。目にも楽しいし、季節の風がそっと吹き込んでくるよう。袋の中のトレイには百人一首の歌が印刷されていて、それを読むのも楽しみです。 私が贈り物で重視するのは、押しつけがましくないかどうか。豪勢な食品は華やかではありま

昆布と松茸を炊いた兵庫の味の芸術品、有明海産海苔が美しい漆黒スイーツ……|目耳口

昆布と松茸を炊いた兵庫の味の芸術品北海道羅臼産の天然昆布と大きく切られた松茸が入った、丹波屋が誇る贅沢な佃煮。まろやかな丸大豆醬油や灘の清酒など選りすぐりの調味料と手間を惜しまない伝統の手作り製法が、肉厚で味わい深い昆布と松茸の旨みを生かしている。ご飯に合う最高のご馳走として、食通の方へのギフトにもぜひ。 食事を美味しくする新発想のカトラリー鉱物由来の素材、ジルコニアで出来た注目のカトラリー。金属製特有の金属臭さが無く、料理の味を損なわないのがなんといっても魅力。また、サフ

同級生交歓 広島大学附属高等学校 昭和56年卒

(右から) 内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室長 迫井正深 環境省前地球環境審議官 正田寛 キリンホールディングス常務執行役員 坪井純子 一橋大学経済研究所教授 渡部敏明 ジェイアール東日本企画代表取締役社長 赤石良治41年前、広島を離れ大志を抱いて降り立った懐かしの東京駅にて同級生交歓。 首相動静に頻繁に名を記す迫井は、生徒会長や応援団員を務めるなど往時からリーダー的存在。医学部に進学し憧れの外科医になるも、「志の貫徹には現場と制度の両輪が必要」と行政に身を投じ

同級生交歓 福岡県立修猷館高等学校 昭和47年卒

(右から) ふくおかフィナンシャルグループ・福岡銀行代表取締役会長 柴戸隆成 太宰府天満宮最高顧問 西高辻信良 福岡商工会議所会頭・西日本シティ銀行代表取締役会長 谷川浩道我々3人は昭和47年に修猷館を卒業した。谷川と西高辻は福岡教育大学附属福岡中学校、西高辻と柴戸は慶應義塾大学でも学び舎を共にした。そして現在、3人は同じ福岡ロータリー倶楽部に所属して定期的に顔を合わせており、半世紀を越える長い付き合いとなっている。当時の修猷館は、「不羈独立、自由闊達」な校風に包まれ、高校生

「愛される贈り物」名品探訪14

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染野太朗「恋は静止画」 短歌

渡るとき生きもののよう歩道橋すこし震えているのがわかる もう晴れてきた西のほう この秋もきみは筋トレしてるだろうか 下倉楽器(シモクラ)にしばし見上げつ秋光(しゅうこう)をはじいて白きテレキャスターを きみでなくぼくを信じていなかった ELLEGARDEN〈虹〉の爆音 コーヒーの湯気たちまちにほどけゆくスタバの隅のカウンター席 筋トレをきみに教わりいちねんで一〇キロ増えたぼくのからだは 落日にまなこ焼かれてつむれどもなおも焼かれて 恋は静止画

山﨑修平「蛎殻町を過ぎたあたりの」 詩

蛎殻町を過ぎたあたりの路地裏をどうして知っていたのだ 私たちはおそらくこれは最初であり 最後でもあることを分かっていた 隅田川の水面のわずかな揺らぎ、風はまもなく止みそうだ 流れに身を任せて噛み砕かれて溶けてゆくのだろう 不細工な高層ビル、下のバルにはにんげんが集う あの赤ワインのあの渋みのことを知っていたとして けれど紛れもない、これが私たちの姿 築地のはずれにバスは着いたようだ もちろん、晴海通りを尾張町へ、明るい光が見えるから

堀田季何「夜色」 俳句

夜な夜な羽振く老蝶や脳の奥 文藝のをかしみさんま少し焦げ 春秋のごとき藻塩や月の桌 水澄むや音たつるもの淘汰して 無言の列を追つてゆく猫や秋 毒りんごひと口かじる母のため 通信機たち話し合ふ街夜寒

佐藤健太郎 コロナ禍後もマスクを着けたい人の割合は? 数字の科学

コロナ禍後もマスクを着けたい人の割合 54%10月9日、F1日本グランプリを岸田首相がノーマスクで視察したことが話題を呼んだ。インバウンド再開に向け、諸外国並みに脱マスクを図りたいというのが政府の本音なのだろう。また20日の国会では、猪瀬直樹氏が「同調圧力からの脱却」を訴えてマスクを外して質問しようとし、制止される場面もあった。 この同調圧力とは、結局のところ何なのだろう。『「空気」の研究』(山本七平著)には、「臨在感」という言葉が登場する。日本人は、ただの物質でしかないも

おふくろ 常見陽平「高い壁」

「お前の発言は軽薄すぎる。もっと考えてから物を言いなさい」 毎月1回くらい、母からLINEで批判が届く。私のメディアでの発言や、SNS投稿を見て、だ。思えば48年間、「軽い」「浅い」「勉強が足りない」こんな言葉を浴びせ続けられてきた。その度に私は奮起する。北海学園大学名誉教授でありケルト人の研究を続ける歴史学者常見信代先生、つまり私の母は幼少期から、高い壁として私の目の前に存在している。指導教員と教え子のような親子関係だ。知識人として勝てる気がしない。 院生時代に学生結婚

オヤジ 御厨貴「オヤジの日曜話」

いいオヤジだった。もう亡くなって30年がたつ。それでも時折、私が小さい頃から中学高校時代のことを思い出す時、必ずオヤジがいる。やさしかった。オヤジの父がすぐ怒る怖い人だったらしい。それが嫌でねと言うオヤジは、一人っ子である私に、常に寄り添ってくれていた。オフクロが厳しかっただけに、オヤジの存在は忘れ難い。 でもサラリーマンで、ライオンという会社の営業マンだったオヤジは、東北地方の営業や九州地方のそれで、平日はほとんど家に帰ってこなかった。日曜の朝だけは寝坊していたので、必ず

翔猿 猿のように速く、ゴリラのように強く 大相撲新風録22 佐藤祥子

先の9月秋場所で横綱照ノ富士から初金星を挙げ、10勝5敗の好成績で、初の殊勲賞を受賞した翔猿。師匠は元大翔山の追手風親方で、所属力士たちには「翔」の字を付けることが多い。新十両昇進時に名乗ったこの四股名は、申年生まれでもあり、「自分は軽量で猿のような動きをしているから」と自ら考案したのだという。 来場所は新三役として土俵に上がり、「まずは三役定着を目標にしたい。関脇を目指します!」と意気込んでいる。174センチ134キロの体はけして大きくはないが、まさに猿のように動き回って

第70回菊池寛賞発表

▶宮部みゆきデビューから35年、社会性を持つ現代ミステリーから、時代小説、ファンタジー、SF、ホラーまで数々の優れたエンタテインメント小説を発表。物語の力によって、老若男女問わず多くの人を読書にいざなう ▶三谷幸喜大学在学中に劇団「東京サンシャインボーイズ」を旗揚げ、以来40年にわたり、コメディから「鎌倉殿の13人」などのシリアスな歴史劇まで舞台、テレビドラマ、映画のすべてで優れた作品を生み出し続けている ▶信濃毎日新聞社「五色(いつついろ)のメビウス」取材班コロナ禍の地

【フル動画】斎藤幸平×成田悠輔「日本はゲームのルールを変えられるか?」

◆マルクスとアルゴリズム、希望はどちらにあるのか 文藝春秋digitalは、11月27日(日)19時より、『人新世の「資本論」』著者であり東京大学准教授の斎藤幸平さんと、『22世紀の民主主義』の著者でイェール大学助教授の成田悠輔さんをお迎えして、オンライン対談イベント「日本はゲームのルールを変えられるのか?」を開催しました。 《対談フル動画は本ページ下部にあります》