100年後まで読み継ぎたい100冊 角田光代「こうあってほしい世界」
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100年後まで読み継ぎたい100冊 角田光代「こうあってほしい世界」

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文・角田光代(作家)

こうあってほしい世界

100年後に読まれていてほしい本について、数年前だったら、ただたんに私の好きな本、心揺さぶられた本を挙げていたと思うのだけれど、こうしてパンデミックを体験してみると、以前よりずっと切羽詰まった気持ちで「読み継いでいてほしい」本が浮かぶことに気づく。

パンデミック後、私たちははたして以前のように旅に焦がれるのか。そもそもインターネットの普及に伴って、旅離れ、旅無精の人が多くなった。『深夜特急』を読み継ぐことで、人は何度でもあらたに旅心を掻き立てられるはずだと思いたい。

それから私が本気で懸念しているのは世界情勢だ。世のなかがどんなに進歩して人がどんなに賢くなっても戦争は起き続ける。戦争がいかにおそろしく非人間的であるか、同時に、いかに人間くさくて身近であるのか、泰緬鉄道建設を描いた『奥のほそ道』、ベトナム戦争を中心に描く『戦場の博物誌』は伝え続ける。

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