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松浦寿輝「香港陥落」

文・角田光代(作家)

美酒美食とシェイクスピア、そして戦争

 小説の舞台は、第二次世界大戦勃発前の香港。戦争の近づく気配は濃厚ながら、香港はまだイギリス領である。そこで知り合った、元外交官の谷尾、通信社勤務のイギリス人リーランド、香港の貿易商である黄。それぞれ40代、50代、30を少し出たばかりと年齢は異なるが、3人で会っては酒を飲み、おいしい料理を食べ、あれこれと語り合うのが習慣になっている。3人ともがシェイクスピアを好み、会話の端々に台詞の引用がちりばめられる。

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