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ローラン・ビネ著、橘明美訳「文明交錯」

桁外れに面白い歴史改変小説

 途方もない生きた小説だ。さすがローラン・ビネ、『HHhH―プラハ、1942年』の著者が贈る怪異譚だ。スケールがデカすぎで半端ない。なにしろ、スペインがインカ帝国を、ではなく、インカ帝国がスペインを征服する。インカ帝国を滅ぼした鉄、銃、馬、そして病原菌に対する免疫をインカの人々が持っていたらという設定である。

 本書は「第一部エイリークの娘フレイディースのサガ」「第二部コロンブスの日誌(断片)」「第三部アタワルパ年代記」「第四部セルバンテスの冒険」の四部から成る。いずれも実在の人物であるだけに歴史改変の部分の描写が気になる。

ローラン・ビネ著、橘明美訳「文明交錯」(東京創元社)3300円(税込)

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