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保阪正康「Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想」

西部邁とは何者だったのか

 保守思想家の西部邁とノンフィクション作家の保阪正康。戦後日本を代表する論客の2人は、1学年違いで同じ中学校に通っていた。

 場所は札幌。朝7時1分に西部が厚別駅から列車に乗ると、7時12分に白石駅から保阪が乗って来る。7時24分に札幌駅に着き、そこから市電に乗って中学へ通う。その道中が、2人の時間だった。

 当時の保阪は、心を打ち明ける友人がいなかった。家庭では父との関係がうまくいかず、厭世的な気分に陥ることが多かった。そんな保阪にとって「すすむさん」は尊敬する兄のような存在であり、価値観を共有する同志でもあった。

保阪正康「Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想」(講談社)2090円(税込)

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