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大相撲新風録 霧馬山|佐藤祥子

大相撲新風録「霧馬山」

霧馬山きりばやま、モンゴル・ドルノドゥ出身、陸奥部屋、25歳

モンゴルの大草原で育った朴訥な青年

首都ウランバートル出身のモンゴル人力士も多いなか、霧馬山は正真正銘の遊牧民だ。大草原で羊を放牧し、ゲルと呼ばれるテントでの生活。幼い頃から両親を助けて家畜の世話をし、自在に馬を乗りこなしていた。

初土俵は2015年5月場所だが、前年に「テスト生」として来日しており、元大関霧島が率いる陸奥みちのく部屋での相撲部屋生活を体験した。この当時の霧馬山の姿を、今も覚えている。稽古場で陸奥親方が目を細め、こう囁いたのだ。

「見てごらん。あの子、すごいでしょ? モンゴルから来ている子なんだけど、相撲の経験もないのに、うちの力士たちをガンガン負かしちゃってるんだよ」

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