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文藝春秋が報じた論客の肉声 片山杜秀

亀井勝一郎、蠟山政道、長谷川如是閑、阿部眞之助、小泉信三、福田恆存、そして岡本太郎……。
空疎、ごまかし、見せかけ、小手先を退け、ひとりの人間として、生真面目に、そして柔軟に綴られた魂の言葉/文・片山杜秀(慶應義塾大学教授)

『文藝春秋』が100周年。文芸雑誌として出発した。今も芥川賞受賞作品が全編掲載される。ということは、文芸雑誌としての性格をなお保っているのだろう。とはいえ、文芸はその本来的性質として文芸にとどまり続けることはできない。文学も芸術も、対象とするのは結局、人間である。人間を描くとは、家族、社会、風俗、経済、政治、法、思想、歴史、科学、そして暴力にまで触れることだろう。そうして過去を振り返り、現在を見つめ、未来を思い描き、おのれに帰ることだろう。文芸は『平家物語』に、バルザックに、トルストイに、ついには至る。人間の関わる全領域に開展しようとする。それが文芸の運命である。

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