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スパコンを制する者が世界を制す 松岡聡

文・松岡聡(理化学研究所計算科学研究センターセンター長)

松岡聡氏 

 地球温暖化など複雑化する社会問題に解を導く手法として注目されているのが、スーパーコンピュータ上の「計算」である。現実を模した“双子”の世界「デジタルツイン」を再現することで未来を予測できる。もともと日本は、スパコン上の「物理シミュレーション」に秀でているが、近年の好例が、新型コロナの流行期にスパコン「富岳」で行われた飛沫拡散の感染シミュレーションだ。ウイルスを含む飛沫の正確な再現と視覚化、ウレタンと不織布のマスクの防護力の違い、交通機関や学校の安全性など、1000件以上のデジタルツインでシミュレーションが行われた。ワクチンもない時期に、何がリスクかの科学的事実を伝え、感染抑止への国民の協力を得られた。

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