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【開催報告】文藝春秋 100周年シリーズ 「DigitalHQ」カンファレンス さよなら組織の「壁」 ~ビジネスが「つながる」、行動が「変わる」~ 全社横断コミュニケーション&コラボレーション実現の「リーダーシップ」
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【開催報告】文藝春秋 100周年シリーズ 「DigitalHQ」カンファレンス さよなら組織の「壁」 ~ビジネスが「つながる」、行動が「変わる」~ 全社横断コミュニケーション&コラボレーション実現の「リーダーシップ」

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企業経営には様々な壁が存在する。成長の壁、組織の壁、文化の壁、不確実性の壁……。規模の拡大とともに社員間のコミュニケーションが希薄になり、価値や文化の違いによる意見の対立、情報の行き違いによるトラブルなどに課題を感じているマネジメントも少なくないのではないだろうか。

営業部門はファイナンス部門と口を聞かない。IT部門、販売部門、技術開発部門も干渉しない。人を分断する「コミュニケーション不全」の壁が存在することで、多くの労力をかけたプロジェクトの恩恵が限定的になってしまうといった事態は避けなければならない。

本カンファレンスでは、ビジネスが「つながる」、行動が「変わる」、全社横断コミュニケーション&コラボレーション実現のリーダーシップに焦点を当てる。課題と向き合い、解決のアプローチを推進していくための「リーダー」の役割や「コミュニケーションの技術」などについて、 ITツールの選定から活用に向けた推進、価値を最大化するための組織戦略など、多様な視点から識者の話を聞く。

■オープニングキーノート

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株式会社セールスフォース・ジャパン
Slack 事業統括 マーケティング本部
日本韓国リージョン統括 本部長 齋藤 梨沙氏

プログラムの口火を切った齋藤氏は、日本と韓国にわたるSlackのブランド認知向上および収益拡大のためのマーケティング活動を指揮している。Slack 入社以前は、複数のグローバル IT 企業にてマーケティングおよび組織マネジメントに従事。最先端テクノロジーを日本で拡大普及させるためのマーケティング活動を推進した経験を持つ。

コロナ禍で「新たな働き方への転換」が起こっている。ハイブリッドワークへの移行と共に、情報共有がされない、無駄な報告会議が多い、組織の一体感が薄い……などのマネジメント・コミュニケーションの課題も見えてきた。

変化が激しい不確実な現代において、新しいアイデアやイノベーションを生むために、ピラミッド型ではない現場に権限を委譲したオープン型への組織改革をする必要がある。例えば76%がリモートワークを組み合わせた柔軟なハイブリッドワークを望み、その一方で61%が対面での会話・対話を希望する、といった調査もある中、「いつでも、どこからでも組織が一体となってつながり、コラボレーション」する生産性の高い職場をデジタル上に構築しなければならない。

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業務プラットフォーム=Slackを利用した「Digital HQ」ならそれが実現する。

・コミュニケーションやコラボレーションのサイロ化を解消
チャンネルでチームの連携方法を変革、組織の枠を超えたコラボレーションを実現。
・柔軟性を高めて成果を創出
従業員、顧客、パートナーと連携する柔軟な方法を実現、非同期型コラボレーションで仕事のスピードを向上。
・自動化できる力をすべての人に
社内の誰でもタスクを自動化、ビジネス成果を加速

Slackを利用して、デジタル上の拠点でチームや顧客、パートナーとつながる柔軟かつインクルーシブなDigital HQ(拠点)を構築し、どこにいても仕事を遂行すること、新しい働き方を見つけることを推奨した。

■基調対談

変わり続ける会社に、組織の壁はいらない
~個人をエンパワーする機能としての組織、
リ・アジャストメントの時代のコミュニケーション~

川邊さん

Zホールディングス株式会社
代表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者)
川邊 健太郎氏

川邊氏は大学在学中にベンチャー企業を設立。2000年にヤフーへ入社し、2012年にヤフー COO、2018年にヤフー代表取締役社長CEO、ソフトバンク取締役に就任。2019年Zホールディングス 代表取締役社長CEO、ヤフー 代表取締役社長CEO、ZOZO 取締役に就任。2021年3月ZホールディングスとLINEの経営統合に伴い、Zホールディングス 代表取締役社長Co-CEOに就任。6月にソフトバンクグループの取締役に就任。

鈴木さん候補②

東京大学教授、慶應義塾大学教授、社会創発塾塾長
鈴木 寛氏

鈴木氏は、東大法学部卒業後通商産業省に入省。通産省勤務の傍ら、大学生などを集めた私塾「すずかんゼミ」を主宰。慶應義塾大学SFC助教授を経て2001年参議院議員初当選。12年間の国会議員在任中、教育、医療、スポーツ・文化、科学技術イノベーション、IT政策を中心に活動。
2014年文部科学省参与、2018年10月まで文部科学大臣補佐官を四期務め、2020年度から始まる次期学習指導要領の改訂、大学入学制度改革に尽力した。現在は東京大学教授、慶應義塾大学教授、社会創発塾塾長、OECD教育2030理事、Teach for All Global Board Member、日本サッカー協会理事・参与などを兼務。

対談は三つのテーマに則して行われた。以下は両氏の主なコメント(川邊氏=川、鈴木氏=鈴)

●組織とは?

「いろいろ教えて頂いている鈴木さんの受け売りだが『おもろいことをおもろい仲間と』が座右の銘。組織とはまさにそうなのだと思う。組織では、一人ではできないこと、規模の大きなことが継続性を持ってできる。やりたいこと、おもろいことを実現するために人と人がつながり、組織をつくっていく」(川)

「人生は一回しかない。おもしろいことをおもしろい仲間とやる。高杉晋作も同様のことを言っていた。一人では何も出来ないから、組織に入るからには出世して組織のリソースを使えるようになり、自分がやりたいこと、みんなのやりたいことを実現して欲しい。組織を利用しオリンピックやワールドカップのような大きなことをやれと学生には常に言っている(鈴)

「やりたいことをやるために組織を作り、規模や組織を大きくするのは自然なこと。そして、スパン・オブ・コントロール(目が届く範囲)を超えると、中間管理職をきちんと育て、自分で気になっても『忘れる、任せる、見ない』をしなければならない。スパン・オブ・コントロールを超えたときはそれが組織運営の要諦だ」(川)

川邊さん②

●組織の壁とは?

「プロジェクトごとに多様な人財が離合集散する時代。私自身、異業種交流会にかつて盛んに出席したものだが、社会人は一つの組織にだけ所属するのではなく、外の様々な人とつきあうべき。複数のチーム、組織に所属する習慣をつけ、そこの人々と交流したり遊んで相手の特徴を理解し信頼関係を構築してほしい。今なら、土日、夜の活動や、オンラインで昼休みに数十分とか、そういう交流もできるはずだ」(鈴)

「組織の壁を越えて連携するための仕組み作りが経営者の責務だ。目的を持っていないかぎり当事者意識が生まれないので、目的やビジョンを常に明確に持ち、組織人に目的やビジョンを持たせることがとても大切。そうすれば人は組織内で自発的に連携し、外部とも連携の触手を伸ばしていく。また、横串を指す人=手間を厭わない連絡役も大事だし、組織の中に“リズムが違う人”をひとり置くと組織はさらに活性化する。私たちはそういった人を「ナマズ」と表現している。数多くの鯉が泳ぐベルサイユ宮殿の池にナマズを一匹入れると、鯉たちの間に緊張感が走り太った鯉が痩せたとか。組織を刺激する、ナマズのような人も入れた方がいい。引っ掻き回す存在を置き、かつ、経営者は従来の慣習や既得権益を打破してでもその先にいいことが待っている、という道をしっかり示すべき」(川)

「セクショナリズムを打破するために、私のゼミでは27年間PCCP(フィロソフィー、コンセプト、コンテンツ、プログラム)を強く意識してきた。自分は何のために生きているのか、また例えば文藝春秋(社)とは何であるのか……そんなフィロソフィーを常に意識し大事にしなければならない。コンセプトとは中期計画、年度計画(などの徹底)。コンテンツは現場に任せる。判断軸が揺るがないようにし、迷いが生じた時はフィロソフィーに立ち返る。
 組織内のサブシステムを利用したい。通産省時代サッカー部、テニス部に所属していた。そうすると週末などに小人数で他部署の人と交流でき、気心が知れて他の部署が何をしているかも分かってくる。「各期の一人ずつと飲みに行く」とか。“ツボになる人”を押さえる。直接コミュニケーションが取れるサブシステムや老若さまざまな人脈、切り口を作っておくことは大切だ」(鈴)

鈴木さん候補①

●働き方改革&コミュニケーション変革

「Zホールディングスグループは多様な働き方改革を提案している。先述のとおり『目的』が重要。創造性を高め、付加価値が出るサービスを開発し、その結果業績が上がること――そのための改革だ。当グループは知識集約型産業なので一人一人の創造性やパフォーマンスが大切。それが発揮できる場所は、まちまちである可能性が高い。傘下のヤフーでは、コロナ禍の感染対策で在宅勤務に振り、約90%が在宅勤務になった。しかし、従業員への調査では、平常時や過去と比較しても生産性、パフォーマンスともに同等以上、という回答に。また、業績のみならず、社員個々人それぞれの人生がある。リモートワーク体験により人生全体が最適化され、パフォーマンスと共に社員の人生の「ウエルビーイング」が上がった。よって働き方の多様性が支持されている。2022年4月から居住地域の制限を無くし、交通費規定も大幅に改めた」(川)

「組織の好循環を創り出す『熟議』の重要性、必要性を意識している。熟議はディベートと違い、より深く対話してお互いの違いを理解し合意形成を図ること。その課程で、相手や自分自身のいろいろなことに気づく。人間はいろいろなアイデンティティを持っている。だから私は複数形で「アイデンティティーズ」と呼んでいる。社員であると同時にひとりの個人だ。共通・共感できることに気づくと相手との接点ができ、信頼関係の醸成につながる。会社員としてプロフィット、ミッションだけを追うのではなく、機能だけでなく『ゲマインシャフト/ゲゼルシャフト(共同社会/利益社会)』といった本質的なことを見直してみるのも大切なことだ」(鈴)

「熟議を活発化させる機は熟している。そもそもミーティングの機会が明らかに増えた。海外の相手と一度も対面せず、オンラインで10回、3~4カ月間のコミュニケーションで協議して買収案件を決めた、といった例が普通にある。時空を超える、したいときにしたいだけミーティングできるツールと働き方を手に入れたのは大きい。
 また、今後の1on1重視の流れは加速するだろう。最小限のティーチング(業務説明)に加え、コーチングと、フィードバックを増やしている。自問自答、問いかけの幅を互いの1on1で拡げてあげることで双方が自己解決していく(コーチング)、予見を入れないで見たまま感じたままをストレートに教えてあげる(フィードバック)。これらも効果がある。大きな組織全体の“フィードバックループ”ができて組織が活性化し、コミュニケーションの質が高まる」(川)

対談

●人財育成

「一人一人の才能をどう解き放ち、育てるか。そもそも自分でやって経験しないと、成功も失敗もしないと人財開発にはならない。リモートワーク下では『ジョブ型』主体にはならざるを得ないが、これも自分のキャリアビジョンを持って、それぞれの転職先で自己鍛錬していくことが肝要。ただし、ヤフーやZホールディングスなどのような大きな組織に所属している場合は、社内やグループ企業内の異動先で多様な経験を積む「メンバーシップ型」人財開発もあると考える。客観性を持たせるために、一人一人にカルテを作り、上司が面談をして、自らも工夫して個人の「経験のデザイン」をしていくのもいい」(川)

「人材を育てるには、やりたいことを徹底的にやる(やらせる)ことだ。想定外のことが起こったら自分が板挟まれることになるが、その修羅場を乗り越える過程で知恵・人脈・自信ができる。塾生・ゼミ生同士の学び合いが大事。年長者はそもそも仕事は教えられないし、育てられない。イキのいい同世代やちょっと上の先輩を凝縮させて、ホスト役になって“場作り、幹事業”や人の紹介が経営者・年長者の役割。「共苦共楽体験」とよく話すのだが、苦楽を共にすると同志になる。悩んだら相談に乗る。“母港”ををつくり『いつでも帰っておいで、マストが折れたりセールが切れたら修理してまた出て行けばいい』と。

●まとめ=組織の未来、経営の未来

「今は、コミュニケーションのデザインやチームデザインが融通無碍にできるようになっている。ツールも仕事環境も変わってきている。それを再認識して『何のためにコミュニケーションをしているのか』をきちんと考えることが大切。1on1が増えるが、何人・どのくらいの規模でコミュニケーションを取るのかをしっかり考える。リアルなコミュニケーションも大事。なんでリアルでやるのか? その目的は? 例えば本当に仲良くなるには会食、釣りといった五感を使う共通の体験が大事。何を共有したいのか『目的を明らかに』して一つ一つ考えていく。

「人間は、コミュニケーションを取ると必ず発見がある。経営者・年配者は知恵と人脈があるが、結局、現場でモノやコトを作るのはZ世代などの若い人。いろいろな人、例えばアーティストなどとも交流を。コミュニケーションは量ではなくてバリエーションが大切。クリエイティビティのある組織にするには感性を磨き続けよ」(鈴)

「繰り返しになるが、リーダーの役割とは、変革・改革の時期であれば「目的・目標を指し示す」ことに尽きる。会社が目指すところに到達した時の姿を指し示すことや、組織の人に夢を持たせたりビジョンに説得力を持たせるのがリーダー。「会社が目標・目的に到達した際に、では自分はどうなれるんですか?という組織人(従業員)の問いに答えがだせるようなリーダーになれるよう心がけたい」(川)

■スペシャル講演&対談

「アスクルが実践するDX型組織のコミュニケーション」
~ リアルでもオンラインでもシームレスに集い、結びつくことの大切さ ~

池田さん①

アスクル株式会社 CDXO
(チーフ・デジタルトランスフォーメーション・オフィサー)
テクノロジー本部長 池田 和幸氏

池田氏は大手IT事業会社および複数の大手流通小売業をへて現在に至る。IT事業会社では、主に小売業向けのシステムの設計~開発に従事。大手流通小売業では、グローバルサプライチェーンやECシステムの発案・構築・運用に従事。アスクルでは、IT部門での基幹システムの構築や、物流部門では物流ロボット導入プロジェクトなどIT~ロジスティクスまで幅広い分野で多数のプロジェクトに取り組む。2022年3月より現職。

2025年までに「オフィス通販からのトランスフォーメーション」を進め、全ての仕事場と暮らしを支えるインフラ企業となることを目指す。提供する価値=製品・サービス、そして実行する組織=業務プロセス、組織・社員、双方の変革を成し遂げたい。現在も品揃えを拡大し、低単価+高回転のヘッド商品と高単価+低回転のロングテール商品の双方を展開しているが、ロングテール商品も「明日来る=アスクル」ことを目指し売り上げ拡大を狙う。

実行する組織の変革においては、バリューチェーンのDXによる顧客価値の向上/データとAIで最適化・ロボット活用による省人化/催促購入、品切れ低減、最短お届け、省資源配送/サービス開発プロセス、体制の変革、などを進めている。考える→組み立てる→作るをワンチームで回す仕組みも構築している。

池田さん②

事業やプラットフォーム部門とIT部門、データ部門が請負型で連携するのではなく、ビジネスの現場主導でもDXを推進していける組織構造=DX型組織に転換中だ。「ASKUL DX ACADEMY」を実施し、自社のしくみや自社のデータを使ってDX人材育成活動も行っている。

コミュニケーションはコロナ禍で大きく変革した。対面やメール中心から、場面に合わせて複数のツールを使い分けるようになった。「Slack」も活用している。メールのような挨拶や定型文が不要でカジュアルなやりとりが簡単にできる。さまざまなプロジェクトの情報共有、キャッチアップも容易にできる。いまや重要な情報基盤だ、と池田氏は評価した。

●セッション後半には、オープニングキーノートに登壇したSlackの齋藤 梨沙氏 との対談を実施。齋藤氏の問いかけに答えた池田氏の主要コメントは以下。

「DX化にあたっては、中期経営計画で描くビッグピクチャーを社員および取引先やパートナーにきちんと説明し、『目指す方向のベクトル合わせ、目的・ゴールの共有』を丁寧に実施している。コロナ前よりコミュニケーション・ツールや情報交換関連の環境が良くなったため、One on One含め社内の情報交換・共有はしやすくなっている。以前は対面+メールに拘る社員も多かったが、社員の意識が『リモートワークも便利だな』に変わってきている」

「ビジネスチャットであるSlackのいいところは、カジュアルなやりとりが気軽にできること。プロジェクトが多いので、従業員の役割やジョブの追加、変更も多い。過去のそれぞれのチャンネルのやりとりを見れば容易にキャッチアップできるところがいい」

対談②

■スペシャル講演②

リモート時代も伝え方が9割 組織の自発性を引き出す伝え方
〜コミュニケーションの7つの技術〜

佐々木さん①

株式会社ウゴカス 代表取締役
コピーライター、『伝え方が9割』著者
佐々木 圭一氏

佐々木氏は上智大学大学院を卒業後、株式会社博報堂入社。のちに書籍「スティーブ・ジョブス」に登場する伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞「One Show Design」でゴールドを獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードにて、金賞を含む計6つのライオンを獲得するなど、合計55のアワードを入賞受賞。郷ひろみ・Chemistryの作詞家として、アルバムオリコン1位を2度獲得。2014年、クリエイティブ ブティック「ウゴカス」を設立。日本のコミュニケーション能力をベースアップさせることを、ライフワークとしている。

冒頭、オンライン講義を快適に受けるコツとして①通信が良好な場所に行く ②Zoom以外のアプリは閉じる との有益なアドバイスからスタート。
「伝え方はセンスではない。技術だ」と佐々木氏は宣言。伝え方の技術を身につけることで
・会社の商品が、的確に伝わり、売れるようになる。
・自分のアイディアが通るようになる。認められるようになる。
・自分の人生の節目で的確に伝えられるようになり、人生が変わる。
・社員にも、自発性を出して働いてもらえたり、組織の人間関係がよくなる。
とメリットを述べた。コトバには力があり人はコトバによって動かされる。伝え方には技術があり、伝え方を学べば人生を変えられるチャンスとなる。心を動かすコトバは料理のレシピのようにつくれる……と説いた。

佐々木さん②

強いコトバをつくる技術は8つある、と佐々木氏は考えている。
① サプライズ法 ②ギャップ法 ③赤裸裸法 ④リピート法 ⑤クライマックス法 ⑥ナンバー法 ⑦合体法 ⑧頂上法。今回の講演ではそのうち2つを紹介。

●サプライズ法=伝えるコトバに驚きをつくる技術。サプライズがあると人は注目する。興味のないものにも、興味を持たせることができる。人はサプライズが好き。正反対のサプライス・コトバを付加すると心が動く。

例=「好き」と「好き!」のように語尾に!をつける。また、「なんと、びっくり、そうだ、実は、凄い、信じがたいと思いますが、うわー、あ、」などのサプライズワード=驚いたときに発するコトバを付加する。
プロも使っている例=そうだ 京都 行こう。(JR)

●ギャップ法=オバマ氏、村上春樹氏も使う心を動かす技術。伝えたいことと正反対のコトバを手前に入れることで、コトバエネルギーを持たせる技術。いちど落としてから上げるのでより強く伝わる。

例=「あなたが好き」→「嫌いになりたいのに あなたが好き」。あえて「好き」と反対のワード「嫌い」を使ったことにより、強いギャップが生まれる。すると「好き」に強いコトバエネルギーが乗る。

コピーの作り方は、①最も伝えたいコトバを決める。 ②伝えたいコトバの正反対のワードを考え、前半に入れる。③前半と後半がつながるよう、自由にコトバを埋める。
例=「一瞬も、一生も、美しく」(資生堂)「小さなクルマ大きな未来」(SUZUKI)「たくさんの音楽を、小さなボディに」(iPod)「コクがあるのにキレがある」(スーパードライ)

ギャップ法はビジネスの場でも使える。
「最も重要な決定は何をするか?ではなく何をしないか?を決める事だ」(スティーブ・ジョブズ)。反対のコトバから入ることで記憶に残る。
「問題は未来だ。だから私は過去を振り返らない」(ビル・ゲイツ)
大きなことを成し遂げている人物は強いコトバを発している。でもそれは我々にもできる。「伝え方はセンスではない。技術だ。いいものを持っているのに埋もれている例は多い。『伝え方が9割』。伝え方を学び、工夫しよう」と強調し、講演を締めくくった。

2022年4月13日(水) オンラインにて開催・配信

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