
大相撲新風録 遠藤|佐藤祥子
遠藤(石川県鳳珠郡穴水町出身、追手風部屋、30歳)
寡黙な業師の大殊勲
大関照ノ富士の連覇で幕を閉じた五月場所。優勝争いを独走する照ノ富士を脅かしたのが、前頭八枚目の遠藤だった。13日目に大関貴景勝に土を付けた遠藤は、14日目、成績の振るわない大関正代に代わって照ノ富士戦を組まれた。
土俵際で下手投げを打って照ノ富士の巨体をひっくり返し、際どい勝負となる。軍配は照ノ富士に上がったものの、行司差し違えで遠藤が勝ち星を拾った。マスク着用で声援も禁止されているはずの観客たちが、思わず驚きの声を上げてしまうほどの“大殊勲”だった。
日大相撲部時代の実績があり、2013年3月に幕下付け出し十枚目格で初土俵を踏んだ遠藤。同年9月には新入幕。端正なマスクで注目を浴び、現在の大相撲人気を呼び起こす起爆剤ともなった。
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