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『東京、コロナ禍。』著者・初沢亜利さんインタビュー

東日本大震災や北朝鮮、イラク、沖縄などをテーマに写真集を出してきた写真家の初沢亜利さんが、新型コロナウイルスの感染拡大で一変した東京の街並みやそこに生きる人々のスナップ写真を収めた『東京、コロナ禍。』を出版した。初沢さんは6歳から東京に住み続けているが、これまで慣れ親しんだ土地について「あまり真剣に撮ってこなかった」という。

「東京人は東京を撮るべきだという思いは数年前からずっとあったんです。ただ、北朝鮮やイラクや沖縄とは違い、東京という都市を撮るのは自画像を撮るような感覚があって。それで躊躇していたんですが、2020年は東京五輪もあるし、この都市が大きく変わっていくだろうと。そこで、3年ぐらい撮りためていずれ形にできればという漠然とした思いはありましたが、すぐに写真集にまとめるつもりもなく、年明けからあちこちを撮り始めていたんです。そうしたらコロナで一気に様子が変わってしまった」

2月、ダイヤモンド・プリンセス号から下船した最初の一人に群がるマスコミ、3月、桜並木通りが閉鎖された上野恩賜公園に降った季節外れの雪、4月、緊急事態宣言発令後、初の週末を迎えた渋谷センター街など、初沢さんは撮影したスナップショットを日々自身のフェイスブックに投稿した。その写真を見た同書の担当者から6月にオファーがあり、写真集を緊急出版することになった。

「ただ、今はコロナとの距離が近すぎて何が起きてるのか見えづらい時期です。しかし数年後、2020年という年を改めて振り返った時に、あ、本当はこんなことが起きていたのかと気づくことがきっとあるはず。その時のために、性急な解釈や意味付けをすることなく、都市が持っている感情をいま記録として残しておきたいと思った。いつの日かの自画像として、この写真集が役に立てば、と」

だからこそ特にこだわったのは「人に寄る」ことだ。このコロナ禍の東京で生きる人々の「日常」を撮りつづける。

「写真の面白いところは、すべての対象にピントがあった撮り方ができるところです。人の視線には必ず焦点があるけど、写真にはこちらが意図しなくても映り込んでしまう『何か』がある。その何かが撮りたくて、7月にディズニーランドが再開した様子を撮った時は、あえて俯瞰で、いろいろ映り込む写真を撮りました。写真集は7月までの東京を収めたんですけど、まだコロナ禍は続いている。これからも引き続き撮っていくつもりです」

(2020年10月号)

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