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生誕100年 叔父・池波正太郎の美食と癇癪 石塚綾子

「てめえ、誰のおかげで……」「もっと薄く切れ」。初めて語られた身内しか知らない日常/石塚綾子(聞き手・彭理恵)

 今年は、私の叔父、池波正太郎が大正12(1923)年1月に東京・浅草の聖天町(しょうでんちょう)(現在の浅草七丁目あたり)で生まれてから、ちょうど100年です。

池波正太郎氏 ©文藝春秋

 ちなみに池波正太郎というのは筆名ではなく本名です。67歳で亡くなったのは1990年ですが、いまも『鬼平犯科帳』をはじめ、『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』などの作品は、多くの方が読んでくださっています。 私は池波正太郎を「おじちゃん」と呼んでいました。おじちゃんの作品が、時代を超えて愛されるのは、身内の者として本当にありがたいことです。これまで私は、ほとんど表に出ることはありませんでしたが、この節目の年に、文藝春秋で叔父の担当を長く務めてくれた彭(ほう)理恵さんを相手に、私が見た叔父の素顔をお話しすることにしました。

池波氏の姪、石塚綾子さん ©文藝春秋

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