文藝春秋digital

新連載小説「李王家の縁談」#3 |林真理子

新連載小説「李王家の縁談」#3 |林真理子

【前号まで】 韓国併合から六年経った大正五年(一九一六)。佐賀藩主の鍋島家から嫁いだ梨本宮伊都子妃には、方子という娘がいた。伊都子妃は、迪宮(後の昭和天皇)の妃候補として、久邇宮邦彦王の第一女子で方子の従妹にあたる、良子女王の名前が挙がっていると知る。そこで伊都子は、韓国併合後に皇室に準ずる待遇を受けていた李王家の王世子・李垠に方子を嫁がせることを考え、宗秩寮の役人、そして波多野敬直宮内大臣と面会した。 ★前回の話を読む。  このところ梨本宮伊都子妃(なしもとのみやいつこ

10
クラシックギタリスト・村治佳織|平成の天才少女の「現在地」

クラシックギタリスト・村治佳織|平成の天才少女の「現在地」

時代を切り拓く“異能”の人びとの物語を、新進気鋭のライターたちが描く連載ノンフィクション「令和の開拓者たち」。今回の主人公は、クラシックギタリスト・村治佳織氏です。/文・上原善広(ノンフィクション作家) 平成の天才少女が苦難を乗り越えて─  令和元年12月21日、サントリーホールで「歴史的」ともいえる演奏会が行われた。  村治佳織(41)が、たった1人で2000席もの大ホールを満杯にして、デビュー25周年記念コンサートを開いたのだ。  冒頭からいきなりドメニコーニ「コ

47
特別再録「オリンピックの英雄たち」(後編)

特別再録「オリンピックの英雄たち」(後編)

 東京五輪まであと500日を迎えた1963年の春、それまでのオリンピックで活躍した日本の英雄たちが、当時を語り合った。今回はその座談会の最終章をお届けする。  ヘルシンキ五輪での古橋廣之進の悲劇、小野喬、相原信行らが体操で金メダルをとったローマ五輪。  オリンピックの輝きよ、永遠に――。/聞き手・川本信正(スポーツ評論家)&菅沼俊哉(共同通信運動部長) この記事に登場する人物 遊佐幸平(ゆさこうへい)〈馬術〉 9回大会に出場。以後、監督として参加。 笹原正三(ささはらし

6
宮本輝「芥川賞」選考委員退任の辞――河野多惠子さんのタバコ

宮本輝「芥川賞」選考委員退任の辞――河野多惠子さんのタバコ

第162回芥川賞選考会を最後に、宮本輝氏が選考委員を退任することとなった。宮本氏は1978年に『螢川』で芥川賞を受賞。1995年に戦後生まれ初の同賞選考委員となり、24年、49回にわたって多くの作品の選考に携わってきた。そんな宮本氏が、芥川賞の想い出を語る。 宮本氏 ようやく自分の番  先日の選考会をもって、芥川賞選考委員の席から退かせていただくことにしました。  3〜4年ぐらい前からそろそろ自分の仕事に専念したいと思い、(賞を主催する)日本文学振興会に、退かせてほし

19
石坂浩二、浅丘ルリ子、加賀まりこ、笹野高史の「理想の死」を倉本聰が語る。

石坂浩二、浅丘ルリ子、加賀まりこ、笹野高史の「理想の死」を倉本聰が語る。

2017年から放送が始まったドラマ『やすらぎの郷』が、大きな話題を集めた。脚本は、倉本聰さん。劇中で描かれる“老後のリアル”は、多くの人の胸に刺さった。誰もが迎える「死」をどう受け入れるか。同作に出演した「やすらぎ俳優」たちの“理想の死”を倉本さんが語った。 "老後のリアル"を俳優にインタビュー 「僕は、人間には2つの死があると思うんです。肉体的な死と、他者の中からその人の存在が完全に忘れられるという死です。『やすらぎの郷(さと)』に入居している元スターたちは、後者の死に

19
安直な「睡眠薬」の使用が“廃人”を作る

安直な「睡眠薬」の使用が“廃人”を作る

欧米では危険性が指摘されているBZ系睡眠薬が、日本では高齢者を「落とす」ために使われている。医師によって処方された薬剤の副作用で、数十万人にも及ぶ高齢者の認知機能が落ちているとしたら、あなたは信じられますか?/文・辰濃哲(ジャーナリスト)、坂口直(「医薬経済」編集部記者) 睡眠薬・抗不安薬のベンゾジアゼピン  人生の最終章に差し掛かった大切な時期に、医師に処方された薬剤の副作用によって、人が変わったように認知機能が落ちてしまう。そんな高齢者の被害が数十万人に及ぶかもしれな

9
ノーベル賞・本庶佑さんが教える「がん免疫療法」を正しく理解する方法

ノーベル賞・本庶佑さんが教える「がん免疫療法」を正しく理解する方法

 2018年、京都大学高等研究院・副院長の本庶佑氏(78)は、免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。  がん細胞は、私たちの身体の免疫の働きにブレーキをかけることによって、自己増殖を可能にしている。本庶氏らは免疫の機能を抑制する受容体「PD-1」を発見。これが免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の誕生につながった。これまでの抗がん剤では、数ヶ月の延命が限界だった進行がんでも、オプジーボで完治するケースが続出。本庶氏の研究は、がん治

23
再選に向けたトランプの「作戦」は? 北朝鮮、イランの次はメキシコの壁!

再選に向けたトランプの「作戦」は? 北朝鮮、イランの次はメキシコの壁!

今年11月に迫ったアメリカ大統領選。歴史的な番狂わせから早4年。ドナルド・トランプは、再選に向けて何を仕掛けてくるのか。3人のアメリカ通が分析した。/宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)×横江公美(東洋大学教授)×峯村健司(朝日新聞記者) 一挙一投足から目が離せない 峯村 11月の大統領選に向け、候補者争いが本格的に始まりましたね。 宮家 今回は、おそらく前回に比べ大統領選の展開は早いですよ。3月3日のスーパー・チューズデーには、例年より多い14の州で党員集

5
「桜を見る会」「IR疑惑」……自分のために働く“日本型エリート”とは何か。

「桜を見る会」「IR疑惑」……自分のために働く“日本型エリート”とは何か。

今のエリートに、あの戦争を引き起こした「昭和のエリート」の姿が重なって見える――ノンフィクション作家の保阪正康氏はそう語る。問題が噴出する安倍政権。「諸悪の根源は、成績序列主義」だと、保阪氏は語る。 昭和のエリートの姿が  日本のエリートの「型(かた)」は、いつの時代も変わらない――桜を見る会をめぐって噴出した内閣府の隠蔽体質や、IR汚職事件における国会議員の脇の甘さ、大不祥事が発覚してもなかなか辞任しない日本郵政グループや関西電力経営陣の居直り体質……昨年来つづく政治家

12
小室圭さんはメーガン妃よりマシ!? メーガン妃vs.エリザベス女王「全真相」

小室圭さんはメーガン妃よりマシ!? メーガン妃vs.エリザベス女王「全真相」

イギリス王室のヘンリー王子とメーガン妃が発表した「王室離脱」は世界中の人々を仰天させた。実はこの騒動の背景には、エリザベス女王とのメーガン妃の対立があった。ハリー王子も止められない奔放プリンセスの正体とは?/文・近藤奈香(ジャーナリスト) 女王のすばやい対応 「私たちは王室の主要メンバーの地位から退きます」  1月8日、英王室のヘンリー王子とメーガン妃が突然、インスタグラムで「王室離脱」を発表し、世界に衝撃が走った。  2人は、「王室の中で、新しく革新的な王族のあり方

25