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2020年9月の記事一覧

UFO見解から見えた、菅義偉首相の「本質」|プチ鹿島

自民党総裁選を前に、菅義偉氏への「スポーツ7紙合同インタビュー」が行われていた。中でもひときわ目を引いた質問は「UFOの存在を信じますか?」。思いがけない問いから見えてくる、政治家の「本質」とは何か。(文・プチ鹿島/時事芸人) 【選んだニュース】「菅氏にUFO見解直撃」(9月5日、東京スポーツ) プチ鹿島さん  新聞を13紙購読しているが、スポーツ紙は「無くてもよいかもしれないが、無くては困るもの」と私は思っている。世の中に必要な情報しか存在しなくなったらつまらない。ス

永田和宏&永田紅“父娘歌人”が選ぶ「コロナ禍の歌」

コロナ以後、朝日歌壇への投稿が増え、そのうち6割~7割がコロナ関連の歌だという。永田和宏さんと永田紅さん親子は、歌人の河野裕子さんを10年前に自宅で看取った。どんな時でも日々の生活を歌にして詠むことへの思いを明かす。/文・永田和宏(歌人・細胞生物学者・JT生命誌研究館館長)×永田紅(歌人・細胞生物学者・京都大学特任助教) 投稿の6割7割がコロナ関連 和宏 妻(歌人の河野裕子)が10年前の夏に亡くなってからというもの、同じ京都市内で暮らす紅が、週に4日はうちに来てくれていたん

長谷部誠が語るコロナ禍「いまは『筋肉痛』すら愛おしい」

2018年に行われたサッカーワールドカップロシア大会後、日本代表からの引退を表明した長谷部誠さん(36)。W杯は10年の南アフリカ大会、14年のブラジル大会、18年と3大会連続で出場。いずれもキャプテンを務め、日本代表を支えてきた。現在も彼はドイツブンデスリーガ1部、フランクフルトに在籍。6月上旬にはブンデスリーガにおけるアジア人史上最多出場記録を31年ぶりに更新した。異国の地で主力として活躍を続ける「キャプテン」に、このコロナ禍をどうとらえ、サッカーと向き合ったかを聞いた。

坂東玉三郎「司馬遼太郎さんが教えてくれたこと」

歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんは、「コロナ禍の中で、心配だったのは、体を使う機会が減ることでした」と語る。15年前からDVDを持っていた司馬遼太郎さんの『街道をゆく』(NHK)DVD全19巻を一気見し、自国を愛すること、についてのメッセージを受け取ったという。/文・真山仁(作家) 真山氏 移動の自由を奪われると…… 「コロナ禍の中で、心配だったのは、体を使う機会が減ることでした」 歌舞伎俳優として玉三郎は、肉体のケアに、細心の注意を払う。公演の前後に体のコンディションを整え

歌舞伎再開「半年ぶりの舞台で」|中村吉右衛門

新型コロナウイルスの影響であらゆる舞台が中止を余儀なくされたが、それは歌舞伎も例外ではなかった。歌舞伎座は3月の公演を取りやめ、ようやく再開されたのは8月の「8月花形歌舞伎」から。 中村吉右衛門さんも半年間、舞台のない生活を経て、「9月大歌舞伎」の「双蝶々曲輪日記(ふたつちようちようくるわにつき) 引窓(ひきまど)」で舞台に復帰し、濡髪長五郎を演じている。 3月から舞台復帰までの日々を振り返る。 中村氏 無観客の舞台をYouTube配信 今回のコロナ禍というものは、も

新連載小説「ミス・サンシャイン」#1|吉田修一

今月から、吉田修一さんの新連載小説『ミス・サンシャイン』を配信します。お楽しみください。 梅とおんな 立派な石垣である。ちょっとした城壁の構えである。門の両脇に鎮座する厳(いかめ)しいソテツなど、金剛力士の阿形像と吽形像みたいである。  この奥に、目指す「パレスマンション」があるのは間違いないのだが、往生際悪く、「本当にここかなぁ」と、岡田一心は石垣のまえを行ったり来たりしている。  一心などと聞くと、実家が浄土真宗の寺かなにかで、将来は坊さんにでもなるのだろうかと思わ

羽生善治九段、3年前のロングインタビュー「藤井聡太さんの弱点が見えない」

羽生善治九段は、9月27日に50歳の誕生日を迎えた。22日には王将戦挑戦者決定リーグの開幕戦で藤井聡太二冠(18)と対戦し、羽生九段が公式戦で初勝利を収めた。その前週、羽生九段は竜王戦挑戦者決定三番勝負の第3局で丸山忠久九段(50)を破り、前人未到のタイトル通算100期をかけて、10月開幕の七番勝負で豊島将之竜王(30)に挑む。 「すごい人が現れたな、と思います」。3年前、詰め襟の学生服を着た14歳の少年を目の前に、棋界に君臨する羽生三冠(当時)はそう語った。史上最年少でプ

新直木賞作家の警鐘「日本人と犬」ペットから家族へ|馳星周

本当の飼い主の元へ戻るため、日本を縦断する一頭の犬・多聞と、様々な事情を抱える人々との出会いを描いた『少年と犬』。馳星周氏はこの作品で、第163回直木賞を受賞したばかりだ。 自身も長年犬と暮らしてきた馳氏。作中の犬・多聞が見せる表情にはどれも実感がこもる。 〈あの犬の目だ。瀕死の重傷を負い、助けを求めているくせに、どこか超然とした目。どうしてあんな目つきをしていたのか、知りたかった〉 〈思慮深そうな目が美羽を捉えている。引き込まれてしまいそうな漆黒の目の奥には、しかし、

追悼・李登輝「日本人より日本人らしく生きた97年」

親日家として日本にも大きな影響を与え続けた台湾の李登輝元総統が亡くなった。台湾の民主化に尽くし、中国共産党の暴虐に抗った一生涯だった。「日本と台湾は運命共同体だからね」。「民主の父」が語っていた日本への思いとは。/文・櫻井よしこ(ジャーナリスト) 「日本精神」 李登輝元総統はお会いする度に豊かな語彙で日本についての思いを語った。傍らで耳を傾ける曽文恵夫人を見ながら言った。 「家内が笑うのですよ。あなたは台湾の総統を12年もしたのに、日本のことばかり心配している、と言って。

イップスの正体|#2 浅田斉吾(プロダーツ選手)

★前回はこちら。 スポーツは大まかに2種類に分けることができる。「起動のスポーツ」と「反応のスポーツ」だ。前者は自らが動き出さなければ始まらない競技で、ボウリングやダーツはその典型である。逆に、サッカーやテニスは後者に当たる。テニスはサービスのみ起動が求められるが、ひと度、打ち合いになれば反応のスポーツと言える。イップスが多いのは、圧倒的に前者だ。 日本ダーツ界の絶対王者・浅田斉吾もやはり一時期、極度のイップス症状に悩まされた経験を持つ。しかし、そのイップスを乗り越え、プ

私たちはなぜ「自然回帰」するのか|養老孟司×柴咲コウ

女優・柴咲コウさんの強い希望で実現したという養老孟司さんとのZoom対談。物事は移ろいゆく。脳で考えて煮詰まるより身体性に目を向けよう――コロナ禍を生きるヒントを2人が語り合った。/養老孟司(解剖学者)×柴咲コウ(女優) <この記事のポイント> ●柴咲コウさんは、2016年にこれからの持続可能な社会をつくろうと「レトロワグラース」という会社を設立 ●養老孟司さんの目から見て、相当に若い世代の人が、柴咲さんのように自然への関心を抱くようになってきている 「新しい生活様式」で

藤原正彦 レッテルのぐらつき 古風堂々17

文・藤原正彦(作家・数学者) 人間は思考を整理したい動物である。森羅万象が混沌としたままでは、脳が負担に耐えられないから、似通ったものを一まとめにして言語で表したり、思考の節約のため共通する属性にレッテルを貼ったりする。アインシュタインもフロイトもマルクスもユダヤ人だし、世界の人口の0.25%に過ぎないユダヤ人がノーベル賞やフィールズ賞の約4分の1を獲得している。こうなると「ユダヤ人は頭がよい」と言いたくなる。私も、アメリカの一流大学で数学科教官のほぼ3人に1人がユダヤ人な

「見えない不安」に「心の抗体」を|五木寛之

人は「感染防止」と「経済」だけに生きるにあらず――。1年2年で収束するものでもないコロナの流行を前にして、いかに「孤独」と向き合うべきか。著書に『孤独のすすめ』がある、五木寛之さんは「究極のマイナス思考」を提唱する。/五木寛之(作家) 肺と心の病生きている間に、まさか自分が、こんな事態に遭遇するとは思いもしませんでした。 緊急事態宣言のもと、映画館が閉鎖されたのは空前のことです。太平洋戦争の真っ只中であっても、映画館が閉まったことなどありません。 東京が「憧れの対象」で

“感染爆発”現地ルポ 沖縄「コロナ炎上地帯」の悲鳴

8月1日に玉城デニー知事が県独自の緊急事態宣言を発出するに至った、未曽有のコロナ禍に見舞われている沖縄県。現地は今どうなっているのか。徹底取材した。/文・鳥集徹(ジャーナリスト) <この記事のポイント> ●今年8月、沖縄県の人口10万人当たりの新型コロナ陽性者数は「日本最多」の状況が続いた ●県内総生産の4分の1を観光業が占めるため、観光客が来ない状況で多くの人が収入源に苦しんでいる ●8月以降の大規模な感染拡大は、外から持ち込まれたウイルスによる可能性が高い 無料の集団