文藝春秋digital

本上まなみさんが今月買った10冊の本

冬の楽しみ 『フジモトマサル傑作集』に、私はこの冬どれだけ楽しませてもらったことだろう。安全安心な自宅のソファで毛布にくるまり、どこに行かなくても、夜道を濡らす雨の匂いを嗅いだり、凪の海で小舟に揺られているような気持ちになれるのです。 漫画家、イラストレーターの故フジモトさんが描…

同級生交歓|東京学芸大学附属高等学校 昭和54年卒

人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ“誌上同窓会”。「文藝春秋」の名物グラビア企画です。 東京都港区 サントリーホール ホワイエにて(撮影・三宅史郎) (右から) サントリーホール総支配人 折井雅子 内閣広報官 山田真貴子 東北大学副学…

スターは楽し 渡哲也|芝山幹郎

渡哲也 童顔と殺気と放心 渡哲也は水色の背広を着ていた。 本来なら水色のスーツと書くべきだが、当時は上下のセットアップでも背広と呼んでいたので、それに従う。足もとは白い靴。『東京流れ者』(1966)を思い出すと、真っ先に蘇る姿だ。 序盤は水色の背広で、中盤がライトグレー、そしてラス…

天皇皇后両陛下の「オンライン行幸」 コロナ禍でも国民の中へ

疫病と戦う人々に思いを馳せ、ご一家3人でカミュの『ペスト』を読んだ。/文・友納尚子(ジャーナリスト) <summary> ▶︎コロナ禍の中、天皇皇后両陛下はご公務においてオンラインをご活用された ▶︎陛下は、はっきりと意識されて「国民」ではなく「皆さん」という言葉をお選びになった ▶︎11月8…

池上彰さんの「今月の必読書」…『毒殺 暗殺国家ロシアの真実』

ソ連時代から続くロシアの“見せしめ” かつてのソ連には言論の自由がなかったけれど、いまのロシアには「言論の自由」がある。ただし、その後の生命の保障はない。 こんなブラックジョークがあるのが、プーチン政権下のロシアです。2020年8月、ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が旅客機…

【連載】EXILEになれなくて #13|小林直己

第二幕 EXILEという夢の作り方 * ★前回はこちら ★最初から読む ※この記事は1月25日(月)から無料でお読みいただけます 八場 パンとRAG POUNDとEXILE AKIRA  その頃の僕は、ちょっとやそっとのことじゃビクともしなかった。  もちろん、ダンスの練習場所としてスタジオなんて借りられるほ…

マンガ『大地の子』第18話 上海|原作・山崎豊子

第18話 上海 陸一心は、列車の中で思いもよらぬ人物と再会する。趙丹青、一心が日本人戦争孤児であることをよく知る女性だった。 ★前回の話を読む。 ★次の話を読む。 ★最初から読む。 原作:山崎豊子 大正13(1924) 年、大阪市に生れる。京都女子大学国文科卒業、毎日新聞大阪本社に入社。昭和 3…

「脱炭素」こそポスト新自由主義の本命。日本文化がSDGsの本家本元だ

「脱炭素宣言」で、日本はSDGsのフロントランナーになれる。/文・熊谷亮丸(大和総研チーフエコノミスト・内閣官房参与 経済・金融担当) <summary> ▶︎今、各国がこぞって「脱炭素」に取り組むのは「脱炭素宣言」が国際競争の中で非常に強力なカードになるから ▶︎今後、企業はゼロカーボンに…

梯久美子さんの「今月の必読書」…『ルポ入管 絶望の外国人収容施設』

隠されてきた非人間的な長期収容の実態 長崎県の大村入国管理センターで餓死者が出たのは2019年6月のことだ。亡くなったのはナイジェリア人の男性で、長期収容に抗議するハンストの末の死だった。 本書を読んで、この報道に接したときに受けた衝撃を思い出すとともに、背景にある日本の入管収容制度…

東京五輪「中止」を前に、内なる「戦前」に自覚的であれ|辻田真佐憲

 いまこそ戦前を参照するべきときだ。その思いが日増しに強まっている。ほかでもない、新型コロナウイルスの感染拡大で、懲役刑の導入など、本格的に私権制限の枠組みが検討されつつあるからである。  気になるのは、巷間叫ばれているロジックだ。「ひとがこんなに亡くなっている」「現場はこんなに…