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文藝春秋digital

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#平山周吉

文藝春秋digital読者の皆さまへ、編集長より最後のお願い【「文藝春秋 電子版」1年無料プランのご案内】《このキャンペーンは終了しました》

5月31日、「文藝春秋digital」はクローズいたします。 これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。 先にもお知らせした通り、月刊文藝春秋のサブスクリプションは「文藝春秋 電子版」に一本化します。これまで「文藝春秋digital」をご愛読いただいた皆さまには、突然のお知らせになったことを、改めてお詫び申し上げます。 「文藝春秋digital」のサービスが終了しますと、6月から皆さまに最新記事をお届けできなくなってしまいます

平山周吉 電子で甦える江藤淳 巻頭随筆

10代、20代の頃、お正月に配達される新聞を開くのはなんともいえない愉しみだった。昭和40、50年代の話である。増ページされた紙面には各出版社の新企画が次々と出てくる。今年はどんな全集が出るか。買いもしないのに、豪勢な蔵書家になった気分だった。 就職してから欲張って買った全集類はかなりあったが、それらもばっさり処分された。忙しくて読めない。住宅事情が許さない。頁も開かないままに手を離れた。 数え上げてみると、漱石、芥川、志賀といったオーソドックスなものから、子規、尾崎一雄

平山周吉「満洲国グランドホテル」新天地に渡った日本人の群像 評者・中島岳志

新天地に渡った日本人の群像満洲国は約13年間続いた。それは紛うことなき侵略の歴史だったが、戦後の日本人に、奇妙なロマンと郷愁を残した。満洲が内包する魔性とはいったい何なのか。 満洲には様々な日本人の願望が投影された。「王道楽土」の理想、大陸への憧憬、一攫千金の夢、功名心、出世……。そこには野心家から曰く付きの人物まで、多くの人の欲望がうごめいていた。 著者は1937年から38年ごろの満洲に焦点を当てる。そして、「映画のグランドホテル形式に倣って」多くの人物を登場させ、満洲

古川ロッパと「映画時代」 平山周吉

往年の喜劇王ロッパは若かりしころ、映画雑誌の名物編集長だった!/文・平山周吉(雑文家) 「美味いものを毎日食えるようになりたい」「文藝春秋社から新しく映画雑誌が創刊されることになって、菊池寛先生から招かれ、麹町の文藝春秋社へ勤めることになったのは、僕が早稲田大学1年生の時だったと思う。/雑誌の名前は「映画時代」と云った」(『ロッパ随筆 苦笑風呂』) エノケン(榎本健一)、ロッパと並び称された昭和の喜劇王・古川緑波(ロッパ)は、20歳代の4年間、文藝春秋の社員だった。初任給

会社員・半藤一利 一周忌 平山周吉

歴史探偵の知られざる原点をたどる。/文・平山周吉(雑文家) 半藤さんの「遺言」を探る 「日本人はそんなに悪くないんだよ」 「『墨子』を読みなさい」 “昭和史の語り部”半藤一利が末利子夫人にそう言い遺し、90歳で亡くなってからちょうど1年がたつ。NHKの半藤さん追悼番組のテロップで、この2つの言葉を知ったのは、訃報から半月ほど後のことだった。 半藤さんが語り下ろした『昭和史』は50万部以上が読まれ、平凡社の昭和史シリーズは累計100万部を超え、半藤「昭和史」は老若男女誰

小林秀雄と江藤淳ーー平山周吉

文・平山周吉(雑文家)  ナマ小林秀雄を見たのは、昭和46年(1971)秋、東京宝塚劇場でだった。見たというのは正確ではない。文士劇のいわば「前座」として、短い講演をしたのだから、聴いたというべきかもしれない。恒例の文春祭りは創刊50周年だったので、小林秀雄が珍しく聴衆の前で喋ったのだ。小林秀雄の講演を聴くチャンスはこれが最後だという噂が大学生だった私の耳にまで伝わってきて、チケットを入手したのだった。  小林秀雄の肉声はいまならば新潮社の講演CDで簡単に聴くことができる