菊池寛賞発表

戸髙一成さんとPHP研究所の菊池寛賞受賞を喜ぶ 秦郁彦「40年の大仕事」【全文公開】

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秦郁彦氏(歴史学者)

 ラグビー日本チームの勝ちっぷりを見て「にわかファン」の1人になった私は、ベスト4どころか優勝するかもと空想したが、さすがに無理だった。似た思いは小学生の頃にも味わっている。

 太平洋戦争の初頭、真珠湾攻撃に始まる日本陸海軍の連勝ぶりに「優勝」を疑わなかったのに、戦争は思いもよらぬ惨敗で終ってしまった。「失敗は成功の母」という処世訓を引いて、反省と再起を訴えた苦労人もいた。再起は意外に早く、敗戦から30年もしないうちに「ナンバーワン」こそ逸したが、ベスト4入りは実現した。そのかわり反省を深め、敗因を突きとめる苦々しい作業のほうは、おざなりにされてしまう。

 こうした風潮に気づいてか、旧日本海軍の中堅幹部で戦史の表裏に通じた20数人が集まって、座談会形式で敗因分析を試みた。1980年から毎月1回のペースで12年つづく。そのテープ録音を起こし編集と校訂に当ったのは、会の事務局長格だった戸髙一成氏(大和(やまと)ミュージアム館長)である。

 出版を引き受けたのは、PHP研究所(編集主任は一貫して大久保龍也氏)で、1年に1冊のペースで送り出し、昨年夏の第11巻で完結した。通算して40年を要した大仕事に敬意を表したい。

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戸髙一成氏 Ⓒ大和ミュージアム



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