第81回_文藝春秋読者賞発表_

第81回「文藝春秋読者賞」を発表します !

 第81回読者賞は昨年12月9日、選考顧問の片山杜秀氏、本郷和人氏、三浦瑠麗氏、弊社社長・中部嘉人の4名の立ち会いのもと、読者の皆さまの投票結果を踏まえて選考にあたり、下記のように決定いたしました。

 村上春樹氏の「猫を棄てる」は、村上氏が初めて亡き父について綴った記事でしたが「戦争と人生について改めて考えさせられた」と読者から高い共感を得ました。

 グレッグ・ケリー氏のインタビューは、自身も逮捕された、「ゴーン元会長事件」の真相を記したものでしたが「検察情報だけではわからない、世界的に関心の高い事件の内実が理解できた」と高い評価を得ました。

 ご投票いただいた読者の皆さまに感謝いたします。

★受賞作

猫を棄てる―父親について語るときに僕の語ること(2019年6月号)
村上春樹(むらかみはるき)

西川廣人さんに日産社長の資格はない(2019年7月号)
グレッグ・ケリー

受賞の言葉――村上春樹(作家)「猫を棄てる」のこと

使用_村上春樹写真_トリミング済み

 亡くなった父親のことはいつかきちんと文章の形にしなくてはならないと、前々から思ってはいたのだが、なかなか取りかかれないままに、年月が過ぎていった。身内のことを書くというのは(少なくとも僕にとっては)けっこう気が重いことだったし、どんなところからどんな風に書き始めれば良いのか、それがうまくつかめなかったからだ。でも、父と一緒に猫を棄てに行ったときのことをふと思い出して、そこから書き出したら、文章は思いのほかすらすらと自然に出てきた。
 
 僕がこの文章で書きたかったのは、戦争というものが、一人の人間――ごく普通の市民だ――の人生や心をどれくらい大きく変えてしまえるかということだ。そしてその結果、僕がここにいる。でも僕としてはそれをいわゆる「メッセージ」として書きたくはなかった。ただの個人的な事実として、そのまま静かに示したかっただけだ。だから読者の皆さんに評価していただけたことはとても嬉しい。

 様々な事実確認については、「文藝春秋」編集部の援助を得た。感謝したい。

受賞の言葉――グレッグ・ケリー(元日産自動車代表取締役)報道されなかった真実

使用_ケリー_M7Z3575 _トリミング済み

 伝統ある文藝春秋読者賞をいただき、本当にありがとうございます。
 
 私は二〇一八年十一月、日産幹部の懇請で日本に着いたところを突然逮捕されましたが、私に対する容疑は全く身に覚えのないものでした。私は、日産の発展のためにはゴーン氏を同社に繋ぎとめることが必要だと感じていましたし、これは日産の他の上級幹部も同様でした。私たちはそのための適法な方策を検討していたのであり、違法な策を弄するなどという考えは全くありませんでした。
 
 こういったことはほとんど報道されませんでしたが、『文藝春秋』でその機会を与えられ、事実関係をきちんと明らかにすることができました。この記事が読者賞に選ばれたことは、一年余が経過しても日産の事件が風化することなく、読者の皆さまが関心を持ち続けている証と受けとめています。引き続き、本年から始まる公判を注視し、何が真実であったのかをご理解いただければと願っております。



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