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2022年8月の記事一覧

目耳口

礼文・利尻の生ウニを 豪華に食べ比べ日本最北の離島・礼文島に本店をかまえる「島の人」では夏限定の希少な2種の生ウニが届くセットを販売中だ。良質な利尻昆布を食べて育つ生バフンウニとムラサキウニは上品な甘みと口に入れた瞬間とろけるような舌触り。※生バフンウニは8月末終漁。天候により変動あり。 礼文・利尻島産 島うに2色食べ比べセット12,938円(各90g) ㉄島の人 ☎0120-777-164 神奈川の名店による 涼しげな夏おでん小田原のかまぼこの老舗、鈴廣が夏に販売する

【イベントレポート】ビロンギング経営 ~ 「組織ポテンシャル」を高める、愛着心、帰属意識の醸成 ~

「ビロンギング(Belonging)」という言葉が、帰属意識や一体感を意味するキーワードとしてビジネスの現場でも浸透しつつある。多様な「個性」が尊重され、居場所があり、組織の一員として関与できる心地よさを感じられる状態を保つことと、組織としてのパフォーマンス向上や従業員のモチベーション維持、定着の間には強い相関関係があると言われている。 多くの企業がダイバーシティ&インクルージョンに取り組む中、女性比率や障害者雇用などの数値目標を達成することにとらわれてしまうことは少なくな

同級生交歓 大田区立東調布中学校 昭和47年卒

人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ“誌上同窓会”。「文藝春秋」の名物グラビア企画です。 東京都港区 八芳園にて(撮影・山元茂樹) (右から) 立教大学法学部客員教授 石川文夫 アイネス常勤監査役 大利一雅大利君は中学時代から冷静沈着、頭脳明晰の秀才であり理数系科目の才能は突出していた。お互い日本銀行勤務の父を持ち自宅は隣同士、毎日一緒に通学した。高校の夏休みには伊豆の神津島や式根島に遊び真っ黒になった。彼が作成した旅程表を見

同級生交歓 岩手県立盛岡第一高等学校 昭和60年卒

人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ“誌上同窓会”。「文藝春秋」の名物グラビア企画です。 東京都千代田区 文藝春秋本社にて(撮影・山元茂樹) (右から) 映画監督 大友啓史 立憲民主党政調会長代行・衆議院議員 階猛岩手県立盛岡第一高校といえば、現在「猛者踊り」の名前で続く伝統行事だろう。運動会の宣伝なのだが、バンカラな校風の象徴といえる。男子生徒は、北上川の河原で拾った葦の葉の腰蓑に槍を持ち全身に真っ黒のドーランを塗って街中を

同級生交歓 香川県立高松高等学校 昭和50年卒

人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ“誌上同窓会”。「文藝春秋」の名物グラビア企画です。 東京都千代田区 学士会館にて(撮影・山元茂樹) (右から) 日本総合研究所特別顧問 渕崎正弘 カジノ管理委員会委員 氏兼裕之 国立国際医療研究センター理事長 國土典宏 住友ゴム工業取締役会長 池田育嗣 C&Fロジホールディングス代表取締役社長 綾宏將私たちは昭和50年に香川県立高松高校を卒業した飲み仲間でありゴルフ仲間である。國土君は東大

詩 井戸川射子「Mass of Melted Small Bottles」

Mass of Melted Small Bottles小さな瓶の熔融塊と下部に書かれた写真のページを、あなたは開きっぱなしだ、漢字が読めなかったのだ、知らないままここまできてしまった、薬瓶のような小さいのが熱で繋がり固まってもう離れない、平和記念資料館所蔵品の厚い本は手に重く机に置き眺める、めくる指に赤く乾いた箇所がある、きれいな裸というのは難しいものだとあなたは思う、衣服は情の深いような皺をたたえてまとわりつく、紙は湿りを帯びてくる、あなたは速度のついた手でページを開く、

短歌 岡本真帆「光のそばで」

光のそばで天国が涼しい場所かあたたかい場所かをきみとふたり話した 鏡には出口がなくて湖で交わしたことも忘れてしまう バスタブで鹿を飼ってる夢を見てかみさまだって気がついていた 泣きやんだあとの心を馴染ませるアコーディオンのような呼吸で 心臓は真ん中にない 心臓はきみのにおいのことを知らない 次に会うときは互いにわからないかもしれないね 手話の羽ばたき 呼ばれているような気がして振り返る 薄暗闇の夏の回廊

俳句 越智友亮「今を生きる」

今を生きる薔薇一輪分かり合うには子は幼し 祈るなり苺のジャムに粘度あり かたばみやあくびのときは息吸えず 歳時記に開き癖ある素足かな 逡巡に沈黙長し濃紫陽花 線路に従う電車のあわれ夏の空 子は今を最も生きてレモネード

「歯がゆさを知る野獣」ジェームズ・カーン スターは楽し|芝山幹郎

ジェームズ・カーン ©PARAMOUNT PICTURES/Album/共同通信イメージズ 歯がゆさを知る野獣ジェームズ・カーンの訃報を聞いたとき、だれもが思い出したのは、ソニー・コルレオーネの姿ではないだろうか。 カーンは、『ゴッドファーザー』(1972)に出てくるコルレオーネ家の長男ソニーを演じた。体格がよくて気が荒く、すぐに暴力をふるう男だ。殴る蹴るは日常茶飯事で、肉欲も人一倍強い。コルレオーネ三兄弟のなかでそういう役回りを委ねられたのは彼ひとりだった。 妹の

数字の科学 アイルランドのジャガイモ飢饉による餓死者数=約100万人 佐藤健太郎

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。 アイルランドのジャガイモ飢饉による餓死者数=約100万人本稿執筆時点では、新型コロナウイルスの変異株オミクロンBA.5が猛威を振るい、非常な勢いで感染が拡大しつつある。春ごろには「このままコロナも落ち着くのでは」と期待もしたが、この厄介なウイルスとの闘いはまだまだ終わりそうにない。 危険な病原体に生存を脅かされているのは、我々人類だけではない。1950年代には当時最も広く栽培されていた

新書時評「ビートルズ、ドリフ、桑田佳祐」武田徹

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 ビートルズ、ドリフ、桑田佳祐「体に電気が走って、人生が変わりましたね」。1966年、公演のために来日し、都心に向かうビートルズの姿をテレビ中継で観ていた小学生時代を思い出して桑田佳祐はそう語ったことがある。 ビートルズなかりせばロック歌手・桑田は生まれなかった。そこまで強い影響を与えたビートルズとはどのようなバンドだったのか。小関隆『イギリス1960年代』(中公新書)によればその登場の背景には大戦後の緊

綿矢りさ 今月買った本 荷風マインドに触れる

荷風マインドに触れる昔の小説に出てくるお店をネットで検索して、いまでも存在してるか調べる遊びが最近好きだ。永井荷風の『断腸亭日乗』を読むにあたり、荷風行きつけの料理店などを検索してみた。荷風は自炊しないタイプで外食が多く、亡くなる間際も大好きだった市川の大黒家のカツ丼をよく食べていたというが、惜しくも2017年に閉業していた。この日記は書かれた年代は古いが、内容は街ブラにカフェ、ショッピングといった、銀座や浅草を目指して出歩くのが好きな荷風の毎日を記した日記で、読むとワクワク

「地図と拳」著者・小川哲インタビュー

気鋭のSF作家が放つ、満洲を舞台にした600ページ超えの歴史小説が話題沸騰中だ。小川さんは、東京大学大学院博士課程在学中の2015年、『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。17年の『ゲームの王国』では日本SF大賞、山本周五郎賞を受賞、19年には『嘘と正典』が直木賞候補に選ばれた。 「今回テーマにしたのは、戦前、実際に存在した〈大同都邑計画〉。オリンピック代々木競技場や駒沢公園の設計で知られる著名な建築家・高山英華も加わって、満洲に大同という

広瀬友紀「子どもに学ぶ言葉の認知科学」言語って何だ? 評者・梯久美子

言語って何だ?「これ食べたら死む?」 「ほんとうに死まない?」 子供や孫がこんな言い方をするのを聞いたことのある人は多いだろう。幼児によくある言い間違いである。 私たちは、子供は大人が話すのを聞くことで言葉を身につけていくと考えがちだ。だが、大人がこうした言い方をすることはまずない。それなのに、多くの子供が同じ間違いをするのはなぜか。そんな話から本書は始まる。 実は子供は、大人が使っている言葉を模倣することによってのみ言葉を覚えるわけではない。こうした間違いは、幼児が