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#読書

『文藝春秋digital』2022年6月ラインナップ

■会員限定イベント●6月8日(水) ・新庄剛志「薬物使用」の過去 抜き打ち検査で「陽性」も、詳細は伏せられ、その年に引退―― 鷲田康(ジャーナリスト)+本誌取材班 ●6月10日(金) ・プーチンが最も殺したい男の告白 M・ホドルコフスキー(オリガルヒ・石油会社「ユコス」元代表)「ウクライナ侵攻は彼の個人的な動機から始まった」 ・「性暴力」私は負けなかった 卜田素代香(仮名)「暴行後『証拠が残るからシャワーを』と男が強いてきました」 ・新連載 外事警察秘録②「日本赤軍との闘い

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新書時評 武田徹「シン・日本アニメ史」

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 シン・日本アニメ史『シン・ウルトラマン』が絶賛上映中だ。「シン」の語は1966~67年にテレビ放映された「ウルトラマン」へのリスペクトを込めた再解釈新作=リブートであることを意味する。しかし、そこでは何が、どうリブートされているのか。 『ウルトラ音楽術』(インターナショナル新書)では、著者の一人である青山通が空想特撮シリーズとして「ウルトラマン」に続いて放映された「ウルトラセブン」の音楽を担当した冬木透

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「沖縄のことを聞かせてください」著者・宮沢和史さんインタビュー

宮沢さん Ⓒ中川正子 著者は、「THE BOOM」(2014年に解散)のボーカリストの宮沢和史さん。もともと沖縄民謡に魅かれていた宮沢さんだが、ある時「ひめゆり平和祈念資料館」で沖縄戦の記憶に触れ、強い衝撃を受ける。この経験をもとに作られたのが、1992年発表の『島唄』だ。150万枚の大ヒットとなり、いまも歌い継がれている。 「島唄を30年も歌い、沖縄にも通い続けてきました。島唄は現在進行形で歌っているので、なかなか過去のものにならない。自分や沖縄にとってどのような意

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「『人間』を考える」本上まなみ 今月買った本

「人間」を考える 『どうぶつ会議』は北アフリカのチャド湖のほとりで、ライオン、ゾウ、キリンの3頭が、進展なくもの別れに終わったという人間たちの会議のニュースに辟易する場面から始まります。戦争、革命、ストライキ……繰り返される愚行で、飢饉や貧困などがいつまでもなくならない。自分たちも巻き込まれ迷惑しているけれど、一番かわいそうなのは、こんな大人に育てられる人間の子どもたち。もう見過ごしてはおけないと、ゾウのオスカーが立ち上がり仲間に声を掛け始めます。 動物たちの、仲間や夫婦で

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本郷恵子 女性漫画家たちの“舞台裏” 「少女漫画家『家』の履歴書」(週刊文春編)

女性漫画家たちの“舞台裏”「少女漫画」という言葉は、なんとなくレトロに感じられる。今や漫画は未成年者の読み物にとどまらず、対象読者の性別を選ぶわけでもない。それでも「少女漫画」の系譜をひくスタイルは確かにあって、華やかな絵柄や精緻な心理描写などは、少女漫画家たちが開拓し、築き上げてきたものだ。 「週刊文春」の名物連載「新・家の履歴書」の中から、1970年代までにデビューした少女漫画家12名の記事をまとめたのが本書である。少女漫画の黎明期から黄金期に活躍した大御所たちが、「家

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角幡唯介 人間の苦しみを浄化する遍路の力 「四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼」(上原善広著)

人間の苦しみを浄化する遍路の力もともと信仰心のない著者が四国遍路に出ることにしたのは、薬物依存だった身体の調子をととのえ、テーマである同和地区の取材をしてまわろうという不信心な魂胆からだったという。みずからを恥さらしの人生、つまり〈遍路に出たと聞いた周囲の人が「やっぱり」と思うような人生〉を歩んできたという著者が、このテーマで本を執筆したのは必然だったのかもしれない。 辺土という聞き慣れない言葉は、遍路で生活する者、つまりは乞食のことをさすらしい。著者はいわば取材辺土となり

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片山杜秀 「内なるナチ」の蛮行を暴く 「同胞 リトアニアのホロコースト 伏せられた歴史」(R・ヴァナガイテ/E・ズロフ著 重松尚訳)

「内なるナチ」の蛮行を暴く“命のビザ”。日本の外交官、杉原千畝が、リトアニアの在カウナス領事代理として、1940年の夏、ユダヤ人の難民に発行し続けた通過査証のことをこう呼ぶ。前年秋、第二次世界大戦が勃発。ドイツに侵攻されたポーランド方面から、主にユダヤ人の難民が、近隣のリトアニアに殺到した。もっと先へ逃げたい。命のビザが数千人のユダヤ人を救った。 本書は主にその直後のリトアニアの物語。かの国は長年、ロシア帝国に組み込まれていた。第一次世界大戦後、久々に独立。だが、40年6月

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角田光代 思い通りにならない人生の輝き 「もう行かなくては」(イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳)

思い通りにならない人生の輝き語り手はカリフォルニア州の高齢者施設に住む、81歳のリリア。第1部、第2部では、彼女の現在と過去が描かれる。リリアは3度の結婚をし、最初の夫ギルバートとのあいだに5人の子どもと17人の孫がいる。しかしながら彼女の心を占めているのは、リリアが44歳のとき、生まれたばかりの子を残して自死した長女、ルーシーだ。このルーシーだけ、父親が違うことが、この第1、2部で明かされる。 第3部は、ルーシーの生物学的父親、ローランドの日記。出版された日記を入手したリ

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佐藤優 ウクライナ戦争への視座を与える「ベストセラーで読む日本の近現代史106」『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里

ウクライナ戦争への視座を与えるロシア語会議通訳で、エッセイスト、小説家だった米原万里氏(1950年4月29日~2006年5月25日)が亡くなってから16年が過ぎた。米原氏の作品は、現在も多くの人々に読み継がれている。その中で、第33回大宅壮1ノンフィクション賞(2002年)を受賞した『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を取り上げたい。 日本共産党幹部の長女だった米原氏は、小学校3年から中学2年(1959~64年)までチェコスロバキア(当時)の首都プラハにあったソビエト学校で学ん

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『賃労働の系譜学』著者・今野晴貴さんインタビュー

今野さん 政府が“働き方改革”を打ち出し、経済産業省が「雇用によらない働き手」であるフリーランスの支援に動き始めて久しい。会社に定年まで勤めて“賃労働”をするサラリーマンとは違う“自由”な働き方に注目が集まり、巷の書店ではアーリーリタイアとほぼ同義の“FIRE”の関連書籍がよく売れている。しかし、『ブラック企業』など日本の労働環境について浩瀚な著作を持つ著者の今野さんは、日本社会の行く末に警鐘を鳴らす。 「従来型のアルバイトとは違って雇用契約がないのが『プラットフォー

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武田徹の新書時評 中国の強さと危うさ

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。 中国の強さと危うさ清末の変法自強運動を率いた歴史家・梁啓超は祖国に名前がないことを嘆いていたという。確かに「夏」「漢」「唐」などは王朝名だし、「震旦」「支那」は外国での通称だ。結局、梁は逡巡しつつも自らの論考を「中国史叙論」と名付けたし、彼の祖国はやがて中華民国、中華人民共和国と名乗ることになるが、「中華」「中国」が本来は国名ではなく、「世界の中心」を意味する言葉だったことに留意してみる必要もありそうだ。

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「ロシアの暗黒史」手嶋龍一 今月買った本

ロシアの暗黒史ウクライナで残虐な戦争を続けるプーチンにとって最大の権力基盤であるFSB(連邦保安庁)でいま異変が起きている。ロンドン・タイムズ紙はウクライナの諜報を担うFSB第五局の150人が職を解かれ、ベセダ局長は先々月自宅に軟禁された後、収監されたと報じた。短期でウクライナ制圧は可能だと分析したFSBの報告がプーチンの判断を誤らせたとして責任を問われたのだろう。 情報コミュニティに精通するロンドン・タイムズ紙は、今回の追放劇を1930年代の惨劇にダブらせて“スターリン流

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梯久美子 川端文学の救い「少年」(川端康成)

川端文学の“救い”川端康成がガス自殺で命を絶って50年の今春、これまで全集でしか読むことのできなかった『少年』が文庫化されて話題になっている。 この小説を、版元のホームページは「幻のBL作品」としている。BLとはボーイズ・ラブの略で、帯にも「少年愛」の文字が躍る。それは、中学校(旧制)時代、寄宿舎で同室だった清野という下級生との、こんな描写が頻出するためだろう。 〈床に入って、清野の温い腕を取り、胸を抱き、うなじを擁する。清野も夢現《ゆめうつつ》のように私の頸を強く抱いて

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佐久間文子 性暴力における被害者と加害者の視点「生皮」(井上荒野)

性暴力における被害者と加害者の視点衝撃的なタイトルだ。 皮を剥がれ、血を流し続ける心の痛みがひりひりと伝わってくる。 本書は、文学の世界で起きた、ショッキングな性暴力を題材にしている。ショッキング、と書きながら矛盾するようだが、こういうことは実際にあちこちであっただろう、とも強く感じた。 動物病院の看護師として働く柴田咲歩は、7年前、カルチャーセンターの小説講座の講師だった月島光一からホテルに呼び出され、望まない性交を強いられた。 月島の講座から2人目の芥川賞の受賞者

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