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文藝春秋digital

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#文藝春秋2021年4月号

『文藝春秋digital』2022年6月ラインナップ

■会員限定イベント●6月8日(水) ・新庄剛志「薬物使用」の過去 抜き打ち検査で「陽性」も、詳細は伏せられ、その年に引退―― 鷲田康(ジャーナリスト)+本誌取材班 ●6月10日(金) ・プーチンが最も殺したい男の告白 M・ホドルコフスキー(オリガルヒ・石油会社「ユコス」元代表)「ウクライナ侵攻は彼の個人的な動機から始まった」 ・「性暴力」私は負けなかった 卜田素代香(仮名)「暴行後『証拠が残るからシャワーを』と男が強いてきました」 ・新連載 外事警察秘録②「日本赤軍との闘い

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西川美和 ハコウマに乗って2 ふしぎなおもち

ふしぎなおもち広島に住む大正14年生まれの伯母は、物忘れが多くなった。 子供がおらず、大学で英語を教えていた夫は20年前、夕餉の卓でおちょこ一杯の日本酒を「美味しいですねえ」と舐めながら眠るように逝き、以後は小さな戸建に一人で暮らしている。 超がつくほどの綺麗好きで、帰省したおり手土産を持って訪ねても、台所の調理台、廊下、家具調度品、何もかもがピカピカに磨かれて、玄関には季節の花が生けられている。90を過ぎても足腰は強く、私が東京に戻ろうとするのを見かけると、ポチ袋に小遣

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平松洋子さんの「今月の必読書」…『小池一子の現場』

アートをつうじ社会を揺さぶり続ける開拓者の足跡日本には小池一子がいる。 時代を切り拓いてきた女性を挙げるとき、まず小池一子の名前は外せない。一貫してクリエイティブの現場を歩みながら、ジェンダーを超え、仕事のジャンルを超え、アートや言葉をつうじて社会そのものに影響を与え続けてきた人物。85歳を迎える今年、「東京ビエンナーレ2020/2021」総合ディレクターを務め、さらに現役を更新する。 本書は、小池の全仕事を俯瞰するものだが、自伝やアーカイブとは一線を画する異色の出来映え

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飢えた幼児が爺になって|辻真先

文・辻真先(作家) 毎年恒例のミステリベストテン選出で、たまたま三誌の首位がぼく、それも88歳といいトシこいてトップというので、あちこちからお座敷がかかる。ありがたいことだ。一昨年の日本ミステリー文学大賞受賞のときも、トシが話題になった。日本は世界に冠たる老人大国なのだから、最高齢の記録なんて年々更新されると思うが、とりあえずは一番ヨボヨボの三冠王に違いない、よくまあ書きつづけていますねと、感心されるより先に呆れられるが、当人としては幼いころからつづけた営為なので、キョトン

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大相撲新風録 照ノ富士|佐藤祥子

照ノ富士(モンゴル・ウランバートル出身、伊勢ヶ濱部屋、29歳) 序二段から大関復帰の快挙を「大横綱でも味わったことのない楽しさを味わっているのかも。相撲人生を2回楽しんでいるというか――。新十両になった時とか、番付が上がっていく時って、みんなうれしくて心に残っていると思うんです。それを自分は2回楽しんでいる」 これは2019年末の言葉だ。序二段まで陥落した元大関照ノ富士が、幕下優勝を果たして十両復帰を確実にした。喜びを内に秘め、「目標はまだ先にある」と、さらに表情を引

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連載小説「ミス・サンシャイン」#7|吉田修一

【前号まで】 昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする岡田一心は、片思いだった桃田真希と付き合い始めたが、順調すぎる交際に言い知れぬ不安を感じていた。そんな折、一心は和楽京子が年下の俳優と結婚したものの、わずか三年ほどで破局していたことを知る。 ★前回の話を読む。 ★最初から読む。

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スターは楽し ジム・キャリー|芝山幹郎

ジム・キャリー ©AF Archive/Universal/Mary Evans Picture Library/共同通信イメージズ ナンセンスが噴火する1990年代の中盤、ジム・キャリーが噴火した。爆発というより噴火。一過性の破裂ではなく、溶岩の連続的な噴出。94年だけでも『エース・ベンチュラ』、『マスク』、『ジム・キャリーは Mr.ダマー』とヒット作が3本公開され、そのあとには、『ライアーライアー』(1997)がつづいた。止まらない感じがした。 これはなんだ? と

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中島岳志さんの「今月の必読書」…『駒形丸事件 インド太平洋世界とイギリス帝国』

「つながる歴史」を紡ぐことで事件の全貌を解明1914年4月、日本船籍の「駒形丸」が香港を出港した。この船をチャーターしたのはグルディット・シンというインド人ビジネスマンで、香港から北米への移民希望者を移送する事業を企てた。途中、上海と門司と横浜で乗客を増やし、合計376人のインド人がカナダを目指した。同年5月末にバンクーバーに到着したものの、約2か月間、接岸を許されず、わずかな許可者を除いて上陸が認められなかった。船は太平洋上を引き返し、日本とシンガポールを経由してコルカタ(

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面子と忖度|藤原正彦「古風堂々」

文・藤原正彦(作家・数学者) 東京五輪の組織委員長である森元首相が、「女性のたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる。一人の女性が発言すると次々に発言する。女性の話は長い」という趣旨のことを言った。早速海外メディアに取り上げられ「女性差別」と非難された。これを受けて我が国では、「日本がジェンダー後進国ととられる」とまずメディアが騒ぎ立て、国民がヒステリーを起こし、ついには人民裁判のごとき形で森氏を辞任に追いこんだ。 1980年代の中頃、スタンフォード大学の教授夫妻が拙

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保阪正康「日本の地下水脈」|テロに流れる攘夷の思想

「天誅」──維新前夜の尊王攘夷派の合言葉は、なぜ後世のテロで蘇ったのか?/文・保阪正康(昭和史研究家)、構成:栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 右翼によるテロリズム 思想家・社会運動家の満川亀太郎が大正7(1918)年に設立した「老壮会」には、国家主義者から社会主義者まで左右を問わず多くの言論人が集い、思想の交差点ともいうべき活況を呈した。その後、老壮会は活動を停止するが、のちの思想家たちに与えた影響は大きい。今日、私たちが漠然とイメージする右翼・左翼という大まかな分類も

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父 中村哲のこと|中村秋子

文・中村秋子(ペシャワール会会員) 父がアフガニスタンで凶弾に倒れてから1年以上が経ちました。いつも危険を承知で行くのを送り出していたからでしょうか、事件を知ったときは「起きてほしくはなかったけど、お疲れさまでした」と冷静に受け止めました。 父をアフガニスタンまで迎えに行く機中で、父のことや10歳まで住んでいたパキスタン北西部ペシャワールのことを思い出していました。騒がしくて埃っぽく、全体的に黄土色のイメージでしたが、いつも晴天で活気がある街でした。自宅は父の勤務していた

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『大阪』著者・岸政彦さんインタビュー

社会学者、作家として活躍する岸政彦さんと、作家の柴崎友香さんが、大阪について書いたエッセイが6篇ずつ収められている共著だ。 「この本は編集者の提案で生まれたのですが、ひとりは大阪に来た人、ひとりは大阪を出た人の組み合わせなのです」 1973年に大阪で生まれた柴崎さんは2005年に東京へ移った。本書では生まれ育った街、ちかくの商店街、中学生のころから通っていた心斎橋の個性豊かな店などについて書いている。 一方、岸さんは大学進学のため1987年に地元を離れて大阪へ来た。本書

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原田マハさんの「今月の必読書」…『ファン・ゴッホの手紙 (Ⅰ)・(Ⅱ)』

選ばれた265通から浮かび上がる人間像もしもゴッホが現代に生きていたら? 家族や友人に秒速でメールを連打する。心の中に浮かぶ言葉のままにツイッターでつぶやく。描き上がったばかりの絵を速攻でインスタにアップ。「いいね!」を数えてひとりでにやけ、いつしか世界的なインフルエンサーになったりして。 などと想像してみるのは楽しいものだが、ゴッホが生きていたのは130年以上もまえのことである。とはいえ、歴史の時間軸でとらえれば、それほど昔むかしのことではない。私も19世紀末のパリを舞台

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クイズ「私は誰でしょう?」小さな大物

【ヒント】 カリスマ営業マンから名監督へ。華麗なる転身を遂げたアスリートは?* 「生まれは海辺の田舎町。父は教師でしたが、近所のおっちゃんが魚持って飲みに来ては、風呂まで入っていくような、多様な人との濃い人間関係の中で育ちました。私の原点です」 中学で陸上部に入り、駅伝の伝統校である広島県立世羅高校に進学。 「1、2年とレギュラーになれず高三直前の冬に猛練習。正月から自主練と称し、毎日20キロ以上走って親戚の家を回り、お年玉をもらう(笑)。当時からそういう仕掛けを考

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