文藝春秋digital

スターは楽し 渡哲也|芝山幹郎

渡哲也 童顔と殺気と放心 渡哲也は水色の背広を着ていた。 本来なら水色のスーツと書くべきだが、当時は上下のセットアップでも背広と呼んでいたので、それに従う。足もとは白い靴。『東京流れ者』(1966)を思い出すと、真っ先に蘇る姿だ。 序盤は水色の背広で、中盤がライトグレー、そしてラス…

数字の科学 モンスター群の属する次元

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。 今回の数字:モンスター群の属する次元=196,883次元 新型コロナウイルスによる犠牲者は、とどまるところを知らず増え続けている。そして4月11日、その列の中に数学者ジョン・ホートン・コンウェイの名が加…

世界経済の革命児 エリック・ユアン|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、エリック・ユアン(Eric S. Yuan、Zoom創業者CEO)です。 エリック・ユアン 新型コロナで名を売った“巣ごもり発明家” ビデオ会議サービス「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コ…

「次はノーベル文学賞だ」|柳美里

文・柳美里(作家) 『JR上野駅公園口』の英訳『Tokyo Ueno Station』(モーガン・ジャイルズ訳)が全米図書賞の翻訳部門を受賞した。 受賞から1ヶ月が過ぎ、いろいろなことがあったのだが、いちばん驚いたのは、地元の反応だった。 わたしの現在の住所は、福島県南相馬市小高区東町1丁目10番地。東…

40年後のなんとなく、クリスタル|田中康夫

文・田中康夫(作家・元長野県知事) 「10年後に期待したい」。芥川賞選考会で“慈愛に満ちた引導”を渡された翌日の1981年1月20日に、文藝賞受賞作『なんとなく、クリスタル』は書店に並びます。 「後世畏るべしというほかあるまい」。過分な評価を下さったのは文藝賞選考委員の江藤淳さん。ご自宅…

船橋洋一の新世界地政学 コロナ危機後の国際秩序を構想せよ

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。 コロナ・ウイルスをめぐる戦いは、国際間の通常の戦争とは異なる。敵はウイルスであり、人間ではない。国家でもない。本来であれば、すべての国が手を携えて共通の敵に立ち向かうときである。 しか…

飯間浩明の日本語探偵 【し】「終息」か「収束」か自分の感覚で選んでOK

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。 【し】「終息」か「収束」か自分の感覚で選んでOK 2020年に深刻化した新型コロナウイルスの感染拡大は、しゅうそくの見通しが立ちません。と、この「しゅうそく」をどう書けばいいのか、ネットでは繰り返し疑問の声…

世界経済の革命児 張一鳴|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、張一鳴(Zhang Yiming、バイトダンス創業者CEO)です。 張一鳴 世界最大のユニコーンを率いる中国経済のニュースター 物心ついた時からインターネットが身近にあるミレニアル世代。…

船橋洋一の新世界地政学 「東アジアの興隆」と「西洋の没落」

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。 新型コロナウイルス危機は、「東アジアの興隆」と「西洋の没落」という地政学的パーセプションをもたらしつつある。 コロナウイルスの感染者、なかでも人口比の感染関連死者数を東アジアは相当程度…

スターは楽し イーサン・ホーク |芝山幹郎

イーサン・ホーク ロイター=共同 中庸と凡庸のちがい イーサン・ホークは、スライダー投手を連想させる。それも、高速スライダーで打者を威圧する剛球派ではなく、精緻なコーナーワークを駆使するタイプ。あるいは、ストライクからボールに逃げていく横の変化で打者を仕留めるタイプ。 といって…